公正証書とは

公正証書とは、私人(個人又は会社その他の法人)からの嘱託により、公務員である公証人がその権限に基づいて作成する公文書のことです。公文書は、文書の成立について真正であるとの強い推定(形式的証明力)が働きます。

公証人が当事者の嘱託により作成した文書には、公正の効力が生じ、反証のない限り、完全な証拠力を有しています。

公正証書の目的は、契約や遺言などの一定の事項を公証人に証明させることにより、国民の私的な法律紛争を未然に防ぎ、私的法律関係の明確化・安定化を図ることであり、作成された原本は公証役場に保管され、債権者には正本が、債務者には謄本が、それぞれ交付されます。 ※遺言公正証書の場合は、遺言者に正本と謄本の両方が交付されます。

公文書となる公正証書は、法律で設置されている「公証役場」という役所で作成されます。

そのため、公正証書を作成するときは、原則として契約者すべてが公証役場へ出向いたうえで、本人の確認と契約に関する手続を行うことになります。

ただし、遺言公正証書は、遺言する者が高齢であったり病気であることも多くあり、公正証書を作成する公証人が遺言者のもとへ出張して作成することも行われています。

なお、代理人による作成が認められない遺言等を除く公正証書であれば、契約者が指定する代理人によって公証役場での契約手続をすることが認められることもあります。

代理人による契約の可否や必要となる手続については、事前に公証役場へ確認したうえで、代理人による契約をすすめます。

公正証書の種類(一例)

・金銭消費貸借契約公正証書

借主が、一定期間金銭を消費するために貸主から金銭を借り受けて、将来の返還を約束した契約書のことをいいます。

一般的に、銀行や消費者金融等の金融機関等が貸主となって締結されることが多いのですが、一般民間人同士で締結することも可能です。

・債務承認弁済契約公正証書

債務承認弁済契約書とは、既に発生している債務を債務者が承認したうえで、債務の弁済を約束する契約書のことをいいます。

契約の対象は、既に発生している債務なので、金銭消費貸借契約から発生した債務の他にも、不法行為により発生した損害賠償債務なども含まれます。

・建物賃貸借契約公正証書

当事者の一方が建物の使用および収益を相手方にさせることを約束して、相手方がこれに対してその賃料を支払うことを約束した契約書のことをいいます。

・土地賃貸借契約公正証書

当事者の一方が土地の使用および収益を相手方にさせることを約束して、相手方がこれに対してその賃料を支払うことを約束した契約書のことをいいます。

・定期借地権設定契約公正証書

契約の更新や建物買取請求権がない借地権を設定する契約書のことをいいます。

一般定期借地権の場合、存続期間は50年以上でなければなりませんが、存続期間終了時には借地を更地に戻して返還する必要があります。

※この契約は賃貸借契約とは異なり、必ず公正証書による等必ず書面によってしなければなりません。

・建物譲渡特約付借地権設定契約公正証書

期間満了時に、借地上にある建物を相当の対価でもって地主に売却するとの特約を付した借地権を設定する契約書のことをいいます。存続期間は30年以上です。

土地開発業者などが土地を借り、そこにビルやマンションを建てて賃料収入を得て、その後地主に売却するという事業に用いられることが多いようです。

・事業用借地権設定契約公正証書

専ら事業の用に供する建物の所有を目的とする借地権を設定する契約書のことをいいます。

定期借地権に比べて存続期間を短く設定できるメリットがあります。(10年以上50年未満)

※この契約書は必ず公正証書による必要があります。

・不動産売買公正証書

土地や建物といった不動産を売買する際に作られる契約書のことをいいます。

・委任契約公正証書

当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託して、相手方がこれを承諾することを内容とする契約書のことをいいます。

・任意後見契約公正証書

自分が元気なうちに,信頼できる人との間で,もし自分の判断能力が衰えてきた場合には,自分に代わって自分の財産を管理したり,必要な契約締結等をしたりすることを依頼してこれを引き受けてもらう契約のことをいいます。

※任意後見契約を締結するには、法律で、公正証書でなければならないと決められています。

・遺言公正証書

遺言者が選んだ証人2人以上を立会人として、遺言者が公証人の面前で口述し、公証人がその内容を正確に文章化し、遺言者と証人にその内容を確認させた後、遺言者、証人、公証人が署名・押印する形式の遺言書のことをいいます。

・贈与契約公正証書

当事者の一方が自分の財産を無償で相手方に与える意思を表示して、相手方がそれを承諾することを内容とする契約のことをいいます。

書面によらない贈与契約の場合は、各当事者が契約を撤回できるなど、書面の有無で違いがあります。

・死後事務委任契約公正証書

自分の死後の色々な手続きを行ってもらいたいという人が、その手続きを依頼する相手との間でする契約のことをいいます。

・死因贈与公正証書

贈与する者の死亡という事実によって効力が発生する、生前の贈与契約のことをいいます。

・遺産分割協議公正証書

被相続人が死亡し相続が発生した時に、具体的にどの相続人が、どの相続財産を、どの程度の割合で相続するのかを相続人全員で協議した内容を記載したものが遺産分割協議書であり、それを公正証書としたものです。。

・離婚給付公正証書

協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができます。

離婚の原因によっては慰謝料請求権が発生したり、夫婦間に未成年の子供がいる場合は養育費の請求権が発生したりもします。

これらの請求内容を公正証書としてまとめたものを、離婚給付公正証書と呼びます。

・規約設定公正証書

分譲マンションを販売する前に、マンション管理規約を取り決めておく際の書類のことをいいます。

・事実実験公正証書

公証人が、五感の作用により直接見聞した結果(事実)を記載した書面のことをいい、事実実験は裁判所の検証に似ています。

その結果を記載した「事実実験公正証書」は、証拠を保全する機能を有し、権利に関係のある多種多様な事実を対象とします。

事実実験をどのように実施し、どのような内容の公正証書を作成するかは、当該対象物により異なりますので、公証人と事前に十分打合せをする必要があります。

・尊厳死宣言公正証書(事実実験公正証書)

過度な延命治療を打ち切り、かつ、人間としての尊厳を保ったまま死を迎えることを望むことを自ら宣言する書面のことをいいます。

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